2010年 釣行記

2010年12月12日

徳山港沖   9:30〜15:00真鯛   タイ 15cm〜30cm   15匹 アジ 18cm〜23cm 20匹    

 さて、前回の徳山磯釣行の帰りに渡船屋の釣り基地の船頭さんに
「今年は海が暖かいからまだタイがよく釣れるよ。」
という話を聞き、おもしろそうだなと思ったので早速徳山港沖へ釣り船での真鯛&アジ釣りにタケさん、トキさんと3人で行ってみた。
 潮時を見ての出船時間は9時、朝はゆっくりできる出発となった。実は釣行の計画では前日の土曜日に予約を入れていたのであるが、金曜日の天気予報で土曜日は前線の通過に伴い雨風強いと判断し、急遽翌日の日曜日の釣行と変更を船頭に願い出たのだが、急な変更にも二つ返事で応じてくれたのだった。「釣り基地」さんのこの臨機応変さが大変うれしい。先に予約を入れていた3人さんと同席させていただいての釣行である。
 この日の潮時は小潮で満潮は13時。午前上げ潮、午後下げ潮を釣る。船は徳山駅すぐ裏手の港から出港し、約30分ほどで釣り場に着いた。前日の悪天候とうってかわって好天気。朝の気温こそ氷点下に下がったが、日中は風もなくお日様が照り、途中防寒着を脱ぐくらいに暖かく穏やかな天候となった。



 海上の穏やかさから船頭さんは沖の釣り場を選択。まず仕掛けを下ろしたところは大津島馬島南方の水深37mのところ、潮通しが結構良く、20号のおもりでほんの少し糸が潮下へと斜めに走る。でも、底まで落とした仕掛けが潮下へ流されると言うほどではなく、ちょうど釣り易いという感じだ。底には小さな根があるらしく、船首に座を取った釣り人には時折カサゴやメバルなどの根魚が掛かっていた。魚の方はそんなに魚影が濃いとは言えなかったがぽつりぽつりと手のひら越えの真鯛や20cm級のアジが食ってきた。僕が座った釣り座は一番潮上、みんなのためにもせっせとカゴにアミを詰めて撒き餌を効かせる。仕掛けは胴付き3本針仕掛け(針チヌ2号・ハリス2.5号を30cm・幹糸4号で仕掛けの全長は2m)、仕掛けの下には金網カゴ付き20号鉛をつけた。普段からあまり撒き餌が入ってないポイントなのか撒き餌が効いてくれば効くほどに徐々に魚が集まり、活性が上がる感じで、アジもポツポツ、鯛もポツポツではあるが次第に釣果が上がってきたという感じだった。そんな中、ひときわグーと穂先を押さえ込むアタリがあった。うまくアワセも決まり15号の柔らかい竿を満月に曲げ、首を振りながら少しずつ上がってくる。自作の仕掛けはハリス2.5号とちょっと細めなので、ゆっくりと時間を掛けて巻き上げる。やっと顔を見せたのは30cm級の鯛だった。ハリス切れを警戒してこの鯛はタモですくった。これが本日の一番の型だった(船長曰く、いつもなら30cm〜40cmの鯛が一人に3〜5枚は混じるらしい)。

  

他の鯛は大きくて足の裏サイズ。レギュラーは手のひらサイズ。だんだん型が大きくなってきていたのでこれからが楽しみと思ったが、午前中の時間は過ぎて、潮止まりの時間となった。どうやらこのポイントは上げ潮時だけのポイントだったらしく、ポイント移動と船頭の声が掛かる。
 次ぎに行ったポイントはずっと徳山港向きに戻り、大津島の馬島東沖。今度は水深20mと浅くなり、大変釣り易い。けれど、ここは底付近に餌取りのベラが多く、鯛も釣れることは釣れるのだが放流サイズが主とサイズが小さすぎる。まだ潮が動き出す本格調子にはなってなかったが早々に見切りをつけて再度場所移動。

  

 けれど今度はポイントが小さすぎるのかアタリが散漫にしか出ない。少し撒き餌が効いてきたら良型の真鯛がポンポンと続けて2つ3つ上がったが、それっきり。下りの潮も流れ始め、残り時間も少なくなって、乗り合わせた常連さんや船長にとって、朝からの今回の釣果は物足りないものらしく、「もっと魚がいるところを!」ということでここも早々に退散。
 ソナーを頼りに再度ポイントを探索。ここを最後と決めた場所にアンカーを入れた。しかし、この場所は底もそんなに変化はなく、潮の流れも緩くて15号の鉛でも竿直下に仕掛けが降りる。底で餌をとるのはカワハギのみとあまり触手が動かないポイントだった。でも、ソナーはこの日はいつもと比べて極端に釣果が少ない良型のアジを捕らえていたらしく、撒き餌が効いてきたら餌が底に付いたと同時に竿をふるわせ、良型(23cm級)のアジが上がってきた。それまで静かだった船内がにわかに活気付く。あっちでもこっちでも竿が曲がり、仕掛け上げの30分前、群れが通り過ぎるまで楽しませてくれた。少し寂しかったみなさんのクーラーの中も賑やかになり、船頭さんもほっとした風であった。とりあえずみなさんが一通り満足したところで帰港時間となった。

 

 あまりにも天気が良すぎたせいか、おかずとしてのおみやげには僕には満足の釣果であったが、常連の皆さんに言わせるとこの日の釣果は「今シーズン最悪」と言うことであった。しかし、船代は撒き餌のアミと付け餌の赤エビ付きで8千円とお手頃価格。12月とは思えないほどのぽかぽか陽気に普段は磯渡しの間ですら船酔いをしてしまうと言うトキさんですら船酔いを忘れてしまうほどのべた凪、そして持って帰っても魚の処理の料も含めて家族にちょうど喜ばれるくらいの釣果と僕たちは満足した釣行であった。

今回お世話になった徳山港内釣り案内の「釣り基地」さんは徳山沖の磯渡し(港内、黒髪島、大津島周辺3500円〜4000円)徳山沖の船釣り(船代8000円、アジ・サバ・真鯛、カレイ、メバル等季節により対象魚は変わる。)を行っている。あまり有名ではなく、船も最近の磯渡し船のように高速船ではなく漁船並の船足ではあるのだがお客さんがそんなに多くないので、逆に釣り人による融通を利かせてくださる。出船も朝一番の早朝だけではなく、潮の具合や釣り人の申し出で調整してくれるし、風の強さなどその日の状況に合わせて渡し場やポイントを釣り人の申し出に合わせてもくれる。ゆったりと自分ペースで釣りを楽しむのが好きな方々にはお勧めです。

フィッシングセンター釣り基地 船頭:今井さん 
〒745-0043 山口県周南市都町3丁目13 :0834-31-8090

2010年11月28日

徳山湾              クロ        25〜27cm     5匹  

 鮎竿を置いて一ヶ月。そろそろ海の方にも出かけてみるかと一年眠っていた道具を引き出して整える。さて、今冬のスタートはどこで切るか。たけさんに相談して、とりあえず磯からと行き先を徳山湾に決める。船頭に電話を入れるとなんと出船は5時ということ。まあ磯釣りにとってはこのぐらいの出船は当たり前なのだろうがのんびり釣り師の僕にとっては最近は磯や防波堤のチヌ釣りでそこまで本気モードになることは少なく、また今冬初と言うこともあってちょっとビックリである。どうやら他に投げ釣りのお客さんが数人いてその方々が夜明け時合いに竿を出したいということでその方々に合わせた集合時間だったみたいだ。
 当日の天気は冬型の荒天気の回復はじめでまだ西風が残っている状況。今シーズン初ということもあってそのきつい西風がさけられる釣り場を選んで船を着けてもらうことにする。到着した磯は馬島先端の東側でうまく西風を背に受ける形でさけられるところ。この場所は正解で当日は強い西風によって波しぶきが飛ぶほどだったのにもかかわらず私たちは全く風を気にせずに釣りを続けることができた。しかし、釣り場の景色は足下からドン深で左から右と足下から沖へ潮流れが走り通る感じで一目見て
「こりゃクロの場所だな。」
とわかる場所だった。
 足下が暗いうちから到着したこと、そして潮代わりが8時と朝一からチヌを狙っても撒き餌が効く頃には潮変わりしてポイントがぼけてしまうことを考えて、まずは早朝の時合いをクロ狙いでいってみようとクロ仕掛けをセットする。その頃、この徳山湾ではbPの渡船屋「せと志お」がやってきた。船の上にはたくさんの釣り人の姿。みんな赤い帽子をかぶってる???ひょっとしたら何かのトーナメントかもしれません。私たちの磯並びにずらりと釣り人が降り立った。参加選手の中に混じって竿を出すのはなんとなく気が引ける。この辺は鮎のトーナメントに参加している私からすると、できるだけ邪魔にならないようにしてあげようと思ってしまう。トーナメントは一般に釣り師には大きい迷惑を掛けてしまうのであるが、それがわかってはいながらもやっぱり
「ごめんね、今日だけは特別なのです。勘弁してください。」
試合なので自分の力をフルに発揮しようと思うとそうなってしまうのです。大本命に狙おうと思っていた潮下の流れはお隣の選手の前になってしまうので、そこはあきらめて自分の目の前だけに狙い場をしぼります。
 夜明け時のクロの活性は大変高そうだ。浮き下を2ヒロに固定して2Bナマリのドングリ浮きを撒き餌の打ち込み回りに流すとスッと浮きが入った。ここで合わせず糸ふけを取って竿先で聞いてみるとグンと竿先を引き込んだ。ここで合わせてグインと竿に乗り、心地よい手応えを感じながら寄せた魚は25cm級のクロだった。その後も入れ食いとまではいかないが2,3投流すうちに喰ってくる。ポンポンと磯だまりに釣り上げたクロを投げ入れる。
 ちょっと色気を出してシモリの脇に仕掛けを入れてみたときである。今までよりも重いアタリが出た。張った竿先をグングンと引き込んだ後、グイーンと一気に持って行く。ここで合わせてアワセはばっちり。ところがこの魚、竿であしらうはずが逆に竿を引き回していく。足下にぐっと引き込んで竿が満月に。これはハリスが耐えられないと糸が出るように少しドラッグをゆるめようとギアに手を持って行ったときにスッと軽くなった。
「ゲッ!ばらした。」
抜ける力でハンドルを回し、回収した仕掛けを見るとハリス1.25号が結び目ではなく中間がプッツリ切られてしまっていた。あの引き込み方からすると相手はきっと良型の尾長だろう。悔しい悔しい。それからハリスを一回り太く1.5号に張り替えたが、これは後の祭りである。
 さて、久しぶりの海釣り仕掛け、張り替えの際に少々どんくさい事をやってしまい、長いハリスをこんがらがして、10分も費やしてしまった。仕切り直しと体制を整えて再び釣り座に立つと、なんと私の浮きの投入点にバシャンと水音が…。潮下に位置するトーナメンターが潮の流れが速くなったのでより潮上に撒き餌の投入点を変えられたようである。撒き餌が投入された後、当然のように仕掛けが入れられた。潮の流れの速さから考えるとこの撒き餌打ちで就餌点はその選手の前となるのかも知れないが、他の釣り人の真ん前に撒き餌と仕掛けを投入するなんてなんとも失礼な仕業。普段ならムカッっと来るところであるが、「まぁまぁ、あの人もトーナメントということでこんなあり得ない仕業をするんだろう。」と理解に努める。そう考えることによって腹は立たなかったがさすがにこちらのやる気が失せてしまった。人が撒き餌を入れている筋に撒き餌を入れるのも仕掛けを流すのもおもしろくない。竿と撒き餌ひしゃくを置いてしばし釣りを中断する。
 しばらくそのまま座っていたが、ただ座って時を過ごしても仕方がないので、おそらくトーナメントの試合時間は潮止まりまでだろうと読んで、それまでの時間つぶしに撒き餌は入れないで付け餌だけを針につけ、潮下の選手の筋に掛からないよう仕掛けを流す。撒き餌を入れないのだから当然のようにクロのアタリは止まってしまった。けれど、シモリ周辺を探るとピョコンピョコンスイーっと浮きが沈んだ。軽く合わせるとぐっと重たい。獲物が掛かった。けれど、手応えが今までとは違う。そしてチヌの感触でもない。ぐりぐりという感触で上がってきたのは大きな顔をしたメバルだった。「おおっ これはいいものが!」と魚を見て急に扱いを丁寧にし、タモを取りに行ってすくい上げた(笑)。このメバルは27cmのぽってり太った良型だった。この後はフグがいくつか針に掛かっただけでたいした魚信もなく、潮止まりを迎えた。
 読みは当たっていてしばらくするとせと志おの迎えがやってきて、選手たちは一斉に引き上げた。こちらもその間に昼食をとって「よし!」と気合いの入れ直しだ。少しポイントを潮上の位置にずらして今度は本命のチヌ狙いといく。しかし、いくら撒き餌を打っても打ってもチヌのいる雰囲気は出てこない。餌を餌取りのカワハギやフグにかすみとられるだけだ。
「まあ潮下でずらりと並んだ釣り人がクロ狙いとはいえ大量に間断なく撒き餌を入れ続けてきたのだから、もしこの界隈にチヌがいたとしてもみんなそっちの方に行ってしまっているのかもしれないな。」
とたけさんと話す。
 しかし、早朝からくりだして、今日のこの荒れ天候でも風を気にせず竿を出せるポイントに上げてもらって狙いのチヌの顔を見ないでは気が済まない。たけさんと二人でなんとか一枚だけでもチヌを上げたいところだと二人でいろいろな策を試してみる。サーと流れる潮の流れが少しゆるみだした時を見計らって、たけさんが仕掛けを全層に変えた。これで足下から潮下に沈んでいるシモリ回りまでを探っていくがやっぱり反応が出ない。「やっぱりダメだなぁ〜」とあきらめコメントが口から出たとき、すっとたけさんの浮きが水中に沈んで止まった。「来た!」と言う声と共に構えるたけさん。次の押さえ込みを待ってグンとアワセを入れる。グンと竿が曲がり「掛かった」の声。竿はしっかり曲がり、クングンと節をつけてお辞儀をする。まさにチヌの引きだ。上がってきたのは38cmのチヌ。やったやったと二人して喜んだ。これで今回たけさんも初めて上がったこのクロ釣りポイントの場所でもチヌが釣れることも解明することもできた。一つ上がったからもう2,3匹何とかなるかと思い二人とも気合いを入れて攻めてみたが結局チヌはこれ一匹だけだった。                         

2010年10月24日

天草   真鯛   30cm〜40cm       5匹

 鮎も終わりと言うことでお誘いが掛かり、同船させてもらうことになりました。
 どうも気合いを入れていた釣りが終わって気が抜けてしまって、他の釣りはあんまり気が乗りません。でも、釣行までの友との語りに船上でのわいわい話す楽しさはいいものです。「たくさん釣ろう!いい型のタイを仕留めよう!」という気はおこらないのですが…
 この天草、鯛釣りが観光目玉の一つとなるだけあってさすがに魚影は濃い。船頭さんが用意したこんな仕掛けで?というような簡易な仕掛けで餌の赤エビだけを針に刺して底に落とし、少し上げて待つだけで食べ頃の鯛が食ってくるのです。でも、竿を使わない手釣りで、仕掛けも船頭が用意したものしか使わせてくれず、釣り方一つ、仕掛けの捌き方一つにしても船頭からいちいち口出しされて、「釣り」の楽しさはほとんど感じません。気持ち的にはこれで釣れても何がうれしいねん?って感じです。
 船は天草の五橋を全部渡って一番奥の港から日の出と共に出港です。そこから1時間ほどかけて長島の沖が漁場です。しかし、時期が遅いと言われたこの日は今までにないといわれるほどの不漁日でした。それでも竿頭の私は食べ頃サイズのタイを5つほどお土産を持って帰ることができました。外道はフグにカワハギそして一番多いのがイラ。これがまた大きい30cm級。食べてもそんなにおいしくないのですぐリリースしたいのだけれど、これまた船頭から逃がすな!と声が掛かるのでしぶしぶ持って帰りました。
 悪天候で雨まで降ったけれど、遠く天草の沖で船に揺られて、それはそれで気持ちよかったです。

2010年01月30日

柳井港 一文字           7:00〜16:00      25cm〜38cm   5匹

 さて、厳寒期のフカセでのチヌ釣りがわかったわかったで今回は再び柳井の一文字に挑戦となりました。



 今回はたけさんのお友達も一緒と言うことで3人での釣行です。たけさんとそのお友達はこれまでいつも一緒に釣行しているということでお二人共に瀬戸内フカセチヌの上級者。なので、お二人はそれぞれご自分の好きな釣りスタイルで攻めると言うことで僕は僕でやらせてもらいます。



 3人一緒の釣行は荷物も多いけれど手分けして積み卸しができるのでとても楽ちんです。でも、その荷物の多さで失敗をしてしまいました。3人分の荷物をどんどん車から降ろしてネコ車に積んで船へ移動したので自分の荷物を点検しなかったのです。結果、僕の撒き餌用バッカンとその中に入れて家から持ってきてた前回の釣行で余って持ち帰り、今回使おうと持ってきた撒き餌のオキアミと刺し餌をばっくり全部車の中に置き忘れてきてしまいました。気がついたのは一文字についてそれぞれが思い思いのポイントに移動してからです。もうどうにもなりません。まぁ、今回は足場のいい一文字と言うことで濡れ物を入れるのにプラバスケットを持ってきていたので中身を出してそれを撒き餌バッカンに使えます。そして途中、かめやで購入した活き餌とオキアミ1パック。そして撒き餌用アミ・オキアミはあったので釣りは可能です。
 さて、今回のポイントはどこに定めよう…一通り一文字を見渡します。早朝はまだ風も弱く、波も穏やか。遊漁船も見えないので波止場外向きはよさそうです。しかし…これまでの経験から外向きの温排水周辺は遊漁船がやってきてポイントを荒らされてしまう可能性があります。それに昼からの風は向かい風となり釣りづらくなりそうです。落ち着いた釣りができるのは内向き。それは前回までの釣行で確認したことです。
「やっぱり内向きが無難だよね。」
と内向きを眺めると海底に敷かれた石畳が切れるところ付近に発泡スチロールの浮きが浮いてます。
「ん?…ひょっとして網が入ってる?」
まさかと思いながら西側へ歩いて行ってみて、それは確信となりました。一定の距離を置いて浮きが入ってます。
「やっぱり網入れだ。」
浮きの状態から網はちょうど仕掛けを入れたいポイントを東西に渡って入れられています。「釣っている途中でこの網を上げに来られたら…」網入れがされていることをたけさんとお友達に忠告します。とりあえずたけさんとお友達は網を避けて浮きより東側に釣り座をセットされました。僕が波止場を一回りしてポイントに選んだ場所は波止場中央、ちょうど網の中間部になります。
「この浮きが、かごか蛸壺ならそんなに影響はないかもしれないが、建網だったら警戒心の強いチヌには影響が大きいだろうな。それに今は厳寒期、チヌは団子には寄ってこない。おびえて散ったチヌが再び堤防際に寄ってくるには相当時間が必要になるかも…もしかして今日はダメかも?」
はて、ポイント設定に悩みます。ここでもう一度、これまでの厳寒期チヌのフカセ釣りで出した答えを復習します。狙いの対象のチヌはポイント付近に居着いたチヌとその周辺をうろついている移動チヌ。絶好期と違って配合餌には寄ってこず、アミ・オキアミ・ムギと直接食する餌のみが撒き餌の効果を持つ。食いの立つ時間=時合いは8時半から12時の午前中勝負。…相当悩んだが遊漁船が来るまでを勝負時間と決め、さらに風が出るまでの午前中だけと見切ってポイントを外向きに決めました。もしも釣りを開始してすぐに遊漁船が右往左往すると今日の釣りは終わってしまうのでギャンブルです。



 そうと決まればとにかく釣り可能な時間にチヌと勝負しなければなりません。急いで事を始めます。道具を移動して仕掛けをセット。今回は全誘導仕掛けにチャレンジする事ももう一つの目的だったので、完全フカセ全誘導仕掛けをセットします。これは仕掛け作りが簡単簡単。こんなことがあったので釣り開始は8時となってしまいました。すぐに時合いの時間はやってくる。「チヌは食餌に寄る」の読みでオキアミとアミの濃度を高くした撒き餌をバンバンポイントに入れていきます。最初の一時間で用意した半分の撒き餌を使うほどのペースです。初チャレンジの全誘導はやっぱりそううまくいってはくれません。どうも沖向き15mに投入した仕掛けはすんなりと餌が底まで沈んでくれていないようなのです。波も風もないのだが初チャレンジで15m沖への投入ではラインコントロールがうまくいってないのでしょう。ポイントの棚は約15m。ハリス長は約4mなので糸が入ってくれないと上層部しか探れません。何度もやってみたけれど、やっぱり底まで餌が沈んでくれている自信が持てないので、やむなくガン玉4号をハリスに打つことにします。これだけでススーっと糸が入ってくれる感じがします。その調子がよくなった仕掛けにアタリが出た。ツツーと浮きが入っていく。聞くように糸を張ってテンションを加えるとクイーっと引っ張る。走る魚をあしらって寄せるとこれはたくさんのアミとオキアミに引き寄せられたアジでした。このアジが型がいい。25cmはあるいいアジです。口がちぎれて落ちてしまわないように大事に大事に波止場上へぶり上げる。こんな型のいいアジならチヌが釣れなくても十分いいお土産になります。どうやらアジは群れで寄ってきたようです。次もアジ、その次も…。入れ食いで食い続くかと思いきや、そこまで群れは大きくはないようです。アジの群れがいなくなったらまた何も反応はなくなりました。



 このとき、背中の波止場の内向きに漁船がやってきた。例の網を引き上げに来たのです。見ているとやっぱりそれは建網でした。波止場回りにたくさんついているメバルを狙って入れたのでしょう。
「しかし、、、この広い海、もっといい網場があるだろうに…」
網が入れてある波止場沿いに漁船は動き、網を全部上げていきました。そしてその後10分も経たないうちにまた違う漁船がやってきて同じところに建網を張ってしまった。
「…やはりあのまま内向きで竿を入れていたら釣りにならなかったか…」
読みが当たったのがわかってほっとしたが
「…この柳井の波止場はとてもいい釣り場ではあるけれど、これだけ釣り以外のことで障害があると…」
とちょっと残念な思いがする。
 さて、ポイントの方は読み通り、そろそろいい感じになってきたようだ。なんとなく「チヌが寄ってきた。」という感じがするのです。不思議なもので別に何が変わったというわけでもないのにこういう気配って感じる物なんですよね。沖へ投入したドングリ浮きがほんの少しずつ波止場へと流れていくうちにすっと押さえ込まれた。そのままテンションを加えずにほっておくとさらにすっと沈んだ。そこでクンと聞き合わせ。うまく針に乗ったのでしゃくって針掛けをする。クンクンと頭を振るのはチヌの感触。ひょっとしたらこれ一匹にしかならないかもしれないので、十分に感触を味わいながら寄せてくる。本日第一号は9:00分で33cmの黒いチヌでした。タモをまだ用意してなかったので、たけさんのところまでチヌを引っ張っていき、たけさんのタモを借りてすくい上げる。たけさんとお連れさんに「いよいよ今日もチヌの時合いに入ったよ。」とお知らせです。



 こちらのお二人の浮きもさかんに入っている。あの良型のアジとメバルがいい調子で釣れているようだが、まだチヌのアタリは出てないようでした。
「チヌの食い気が出たならアタリは続いて出るはずだ。」
と一匹目と同じパターンで探ります。でも、全誘導の仕掛けは底へ到達するのに時間が掛かる。そのうち、またアジの群れが入ってきてオキアミの餌を引っ張ってしまいます。勢いよく横走りで入っていくドングリ。でも、なかなかうまく針には掛からない。そんなことを繰り返しているとしばらくしてやっとまたアジの群れがどこかに消えた。静かになったドングリを操作し、やっと底に到達したかなと思って餌を底ずらしで横引きずりに誘う感じにしたときに浮きに反応が出た。ツツンと沈んだ浮きにテンションを掛けないようにして食い込みを待つ。水中にあるドングリがさらに沈んで止まったのを目でとらえてからアワセを入れる。グンと竿先が止まった。
「これは良型?」
重量感が違う。少し慎重になってリールのドラッグ調整をし、丁寧にやりとりする。しかし、思ったほど抵抗することはなく無事に浮いてきた。ちょっとまたたけさんのところまで引きずるのは怖いのでたけさんを呼んですくってもらった。これはすらりと姿がきれいな39cmのチヌでした。



「やはり底にチヌはいる。」
確信は持てるのだが、2匹目があがったのは10:15。実に1時間を要してしまっている。
「あまり活発というわけでもないのかな。」
 すぐの3匹目を期待するが、続きはしなかった。時々アジの群れが回ってきてドングリを横に引き入れてくれるので退屈はしないが、どうもこの慣れない全層釣法が無駄を生んでいる気がする。「今日は全層釣法を身につける」という課題を持って来たのではあるが、ついにこの仕掛けを見切って、棒浮き仕掛けにチェンジします。それでも、このポイントは沈め石が多く、底がガタガタしているのでフカセを生かしておもりは軽めの0.8号をチョイスする。やっぱりこの仕掛けの転換がよかったのか第一投目を潮に乗せて東へ流れ込んだところで気持ちよく浮きが引き込まれて止まった。これもアワセはばっちり決まって、3匹目のゲットです。



 しかし、もう時間は11時。ぼちぼち向かい風も出てき始めた。たけさんの方を見ると依然として良型のアジがあがっているようだが、チヌの魚信はないようです。お二人とも気持ちよく釣っているようなので声を掛けたものかどうか迷ったが、おそらくチヌの時合いは後もう少しと思ったので、こちらのポイントに誘ってみた。3匹目が食ってきた潮下のポイントをお二人におまかせして3人並んでポイントを攻める。しかし、それほどチヌの活性が高いわけではない。このあと足下のかけ上がりで浮きが沈まない居食い状態のアタリを竿先でとって足の裏サイズを2匹追加し、良型らしいチヌを1匹たけさんがバラしたところでアタリは止まってしまいました。
 アタリが止まるのと向かい風が強くなったのがほぼ同時でした。正面からもろに吹いてくる風に向かって涙を流しながら釣りを続けるのはつらい。それに仕掛けの投入、撒き餌の投入もままならず、逆光で浮きも見づらいし、強い風と波にあおられてすぐに浮きが堤防際まで打ち寄せられてしまうのでこのポイントでの釣りはいったん休止とします。



 時間もお昼過ぎとなったのでここで昼食をとります。いつものように心まで温まるカップラーメンをすすりながらふと先程のポイントの方に目をやるとなんとビックリ、3人が並んで釣って賑わっていたのを見ていて気になっていたのか、どこからか遊漁船が入ってきていてちょうど浮きを流していたところに止まっている。きっと魚探で魚を探っていたのでしょう。ずずっと一通り海の上を探って、またどこかへと遊漁船は消えていってしまいました。これで、ポイントはおしまいです。朝、ポイントを設定するときに読んだ通りの展開になってしまったのでした。

  
 でも、まぁ今日はこういう展開になると最初から予想をしていたのでそんなにショックは大きくありません。あっさりとチヌ釣りはあきらめて午後からは内向きでのメバル釣りに興じることにしました。前回はこのメバルも時合いが来るまで餌を見向きもしてくれなかったのに、今回はちゃんと餌をとってくれます。ただし、型が小さい…15cm程度のチビメバルばかりです。それでも3人ともメバルは食べるのが大好きなのでポンポンと釣り上げ、迎えの船が来る15:30までに30匹ほど釣り上げることができました。

  

…しかし、前回の徳山釣行といい、今回の釣行といい、厳寒期にこれほども魚のアタリが出ていいものだろうか。。いつもの年なら野波瀬の筏で一日じっとひょっとしたら1日一度あるかないかのチヌアタリをじっとこらえて目をこらして寒さをこらえてじっと待つ。それが厳寒期の釣りの常だったのに、良型のアジやメバルがうるさく思えるほどの餌取りとして存在し、時合いにはポンポンと連続してチヌのアタリが出る。しかも震えることのない陽気の元での釣り。この時期には贅沢きわまりない釣りができたと言えるのではないだろうか。

 今回はこれまでで読んだ厳寒期のチヌのフカセ釣りの釣り方を見事に検証することができ、また、釣り場の状況からその釣法を合わせてポイントと攻め方を組み立てた作戦が見事に当たってくれたので釣果を得ることができたと言える釣行でした。

2010年01月16日

徳山の磯             11:00〜15:30   27cm〜35cm       6匹

 「せっかくフカセ名人のたけさんと一緒にチヌ釣りに出かけているので、この機会に渡船での磯釣りを経験したい。」
そんな気持ちを持っていたのでたけさんに徳山の磯への釣行を働きかけてみた。
 実はこれまで…もう20年ぐらい前に地磯での磯釣りには凝って通ったことはあるのだが、当時通っていた海は日本海専門で、荒れる外海の離れ磯に渡す渡船屋さんは一人釣行だと渡してくれなかったので結局一度も渡磯することはできなかったのだ。そして最近、この徳山の磯でクロやチヌが好調に釣れるとの情報を耳にしていて、近場でもあるのでどんな感じなのかと興味を持っていたのである。
 声をかけるとさっそくたけさんはいつも使っている渡船屋さんに問い合わせを入れてくれて
「OK最近はよく釣れてるよ。」
との渡船屋さんからの返答を受けて釣行となった。
「了解です。じゃ出発は…?」
と聞くと
「10時に渡船屋へ…」
という言葉。
「えっ?10時?」
磯渡しと言えば夜明け時、早朝の出発とばかり思っていた私は少しその時間に耳を疑った。どうやら渡磯する磯は足場が低いところらしく当日の大潮の満潮時では足場が水没し渡れないらしい。それで、潮が下がり始めて渡磯ができる時間を考えるとその時間になるらしい。なんとこんなにゆっくり、遅い出発が好きな私にはぴったりな釣行である。
 朝はゆっくりと起きてゆっくりと準備をし、ゆとり十分の気持ちで今回お世話になる渡船屋「釣り基地」さんへ向かう。「釣り基地」さんには種類は少ないながらも餌も置いており、お店の前で撒き餌を作り船着き場へ移動。出船は10時半となった。時間も昼前となっており、お天気もいいので冬の釣りとは思えないほどの暖かさだ。
「これなら中着はいらないよね。」
といつもより一枚少ない釣りスタイルで出発となった。
 さすが本格的渡船屋さんの渡船船。速度は少しゆっくりめだが、大きくしっかりした船で安心船行だ。目的の磯場は徳山港を出て仙島伝いに南西へ進み、黒髪島の手前にあった。二個の灯台の回りに散らばる大石、その中でも背の高い大岩に降りる。磯と言えば波の高い日本海の磯のイメージしかないのだが、今回は瀬戸内海の磯だから波も静かだろうなとは思ってはいたが、この日はさらに良天候で風もなく、べた凪なので、
「なんとまぁ…これが磯?これなら阿知須の岩場と変わりないじゃん。」
とちょっと拍子抜けな感じである。さて、降りるところは大岩と言っても潮が高い状態なので足場はようやく畳一枚程度の広さしかない。おまけに丸岩で球面上の足場は不安定。船は岩に当てることはできないので近づいたタイミングを見計らって船首から岩へと飛び降りる。
「先に降りて船を捕まえておいてくれ。」
と船頭さんに声をかけられるが、
「踏ん張りもきかない岩の上、大きな船を固定するように捕まえておくなんて無理でしょう。。。それに下手をして船首に体を押されたらそのまま海へドボンじゃん。。」
とあまり本気で船固定に手は出さない。それではやはり船も落ち着かないので、荷物を磯場へ降ろすのに2度ほど着磯操船をしてもらった。
 なんとか荷物を降ろしてほっとしたが、たけさんと二人、場所を変わるには体を捕まえてするりと体をかわさないといけない状態なのでちょっとすぐに準備に取りかかる気にはならなかった。たけさんに教えてもらったポイントに撒き餌だけを入れながら、まずはこの岩での釣りに慣れているたけさんに、足場を決定してもらい、荷物を配置してもらう。それが落ち着いたところでこちらも荷物を配置し、足場を決める。私がこんな風に釣りの準備に手間取っている間にたけさんはさっさと釣り準備を終え、さっそくポイントに撒き餌を打って潮の流れを確認している。静かな海面に移動棒浮き仕掛けを選び、仕掛け作り。
 足場が狭く、竿を置くこともできないので少々仕掛け作りに手間取ったが、なんとか仕掛けもできて、いよいよ仕掛けをポイントに入れようとしたその時、足下の駈け上がりに流れ寄ったたけさんの浮きがすす〜っと入った。ガツンと針掛かりし、さっそくたけさんは本日の第一号のチヌをかけた。グイ〜ンと海中へと突っ込む竿先は獲物が良型であることを知らせてくれる。ジリジリと数度ドラッグ反転でスプールから糸が出てから顔を出し、タモに収まったチヌは本日1番の大物45cmの黒いチヌだった。



「わお!もう釣れたの?」
磯のチヌは居さえすれば食ってくるのは早い。このあたりは筏で団子を入れて、寄せてから食い気が出てくるチヌとは大違いだ。釣れたチヌから針を外し、スカリの中に入れて次の一投。その浮きもまた、同じ駈け上がり付近まで流れてきたところでスーっと入る。ガツンと連チャン。これもまた良型のようだ。強い締め込みもあしらうのは慣れたもの。落ち着いた竿裁きで浮いてきたのは42cmの顔の黒いチヌである。さらにもう一つ追加。
「こりゃ、この調子なら2桁行くんじゃない?」
なんて思ってしまうほどの食い気だ。
 あっけにとられていた私もいよいよ釣り開始、たけさんの少し潮下に位置するポイントに浮き下はたけさんから聞いた3ヒロとして仕掛けを投入。付け餌がなじんで仕掛けが少し流れ、沈み岩付近に近づいたところで浮きが少し入った後、勢いよく走った。糸を張って引き合うようにアワセを入れるとグンと掛かった。魚に重量感はないが引っ張りが強い。右へ左へと竿を振って横走りを止め、浮かしたのはなんと想定外のクロだった。足の裏サイズ一回り小さいクロだが、よく魚体を見てみると尾長である。
「ほ〜こんなのがこの静かな海の底棚狙いでくるんだ。」



ちょっと驚きの一匹だった。続いて次ぎも同型の尾長。
「クロがくると言うことはちょっと棚が浅過ぎかな…」
と浮き止めを1mほど上に上げて棚を下げてみた。今度はクロは食わずにさらに仕掛けは潮下に流れていったその時に、すっと浮きが入り、途中で止まった。
「これはチヌ?」
そのまま少し待って、さらに浮きが入り込もうとしたタイミングで竿をあおるとガツンと針掛かりした。ググ〜ンと底向けに引き、クンクンと頭を振るのはまさにチヌの引き。この感触を味わいたいがために釣りにくるのだと竿を立て、魚の引きをためて、少し味わってから浮かしにかかる。あがってきたのはたけさんがかけたのとは違って色の白いチヌだ。型はまずまず38cm。たいていチヌは最初に上げるのが一番大きいものだが、この日もやはりそんな感じで、だんだんと型は小さくなる。一匹かけたので棚とポイントの見極めができた。
「食うぞ。」



という自信を持って仕掛けを投入し攻めに入る。調子づいた二人はこの後もポンポンと入れ替わりでチヌをかけ、なんだかビクをいちいち上げるのがめんどくさくなる感じだ。時間と共に潮上のたけさんの方がチヌの反応は少なくなってきた。だんだんチヌのポイントが潮下へとずれて行く感じ、そして掛かるチヌはさらに型が小さく、色白のチヌばかりになった。どうやら居付きは釣りつくし、撒き餌に寄ってきた群れチヌへと変わった感じだ。今まで食ってきていたポイントから3mほども潮下の底に藻と岩がある駈け上がり付近にアタリが集中した。ここで僕が連続2匹釣り上げたところでアタリは止まってしまった。時合いは終わったようだ。ここ数回の瀬戸内のチヌ釣り釣行でどうやら冬場にフカセで食ってくるチヌは辺りが完全に明るくなった8時半ごろから昼までが時合いなんだなと感じていたのだが、この日もやっぱり同じような食いパターンだったようだ。ただ、今日のこのポイントは潮下げ時にならないと磯上がりができなかったので磯上がりしてすぐから昼までという時合いになったようだ。それにこの日の天気予報では昼頃から急に風が強く吹くと出ていたのだが、その予報もドンピシャと当たり、強い向かい風となってしまい、撒き餌も仕掛けも思うように飛ばず、仕掛けも潮に乗って潮下へ流れるより、あっという間に手前へと寄ってしまうようになってしまった。潮下のポイントをあきらめ、ぐぐぐ〜っと浮き下を深くし、撒き餌投入点の底狙いに変えて探ってやっと1匹だけ食わせることができたが、それっきりチヌの音沙汰はなくなってしまった。

  

 ここでいったん竿を置き、二人昼食をとることにする。ご飯を食べながら、午前中の釣りを振り返り、分析。こういうのを二人でああじゃないこうじゃないと話し合うのがまた楽しいものである。食事に後は温かいカップ麺。たけさんはいつもあつあつのお湯を魔法瓶水筒に入れて持ってきてくれるので、この温かラーメンを食べることができる。寒い釣り場でのあったかラーメンはほっと気持ちが暖まり、とてもうれしいものだ。
 ほっと一息入れて、午後の攻め方を考える。この磯場のポイントにはもう一カ所少し離れた灯台の足場から反対向きに竿を出せるポイントがある。潮もほどよく引き、歩いてそちらに移動ができるようになっていた。岩を乗り越え飛び降りしてそちらのポイントに行ってみたが、今日のこの風では完全に風を背に受ける形で竿が出せるわけではなかった。風の通り抜けが真横となり、そしてその波頭を見ると走っているので浮きを投入しても仕掛けはすぐに飛ばされてしまいそうだ。それに今日の迎えの船は4時。ポイントへと道具を運搬して釣り支度をする時間、片付ける時間を考えれば残りの実釣時間は1時間ほどしかない。
「この強風下で1時間の釣りでは…」
ポイント移動しても釣りにならないと判断。再度さきほどの釣り場に立って撒き餌を入れ直す。
 風は昼食を食べている間に少し落ち着き、突風こそはなくなったが依然向かいの風が強い。ポイントを手前の駈け上がりに限定して沖から手前への縦の探りに絞って攻めてみるが、どうも完全にチヌの気配は消えている。たけさんは西側のポイントを新たに作るべく撒き餌を入れて浮きを流す筋を変えて探っているが、そちらも時折餌取りのイソベラやチビメバルが針に掛かるだけだ。潮はどんどん下がるし、風もやまない。そして魚が食う気配がないということで釣る気が下がってしまった。



 完全に干上がったこの磯場を見て回ろうと竿を置き、ぐるり磯場を一回り。そして早々に釣りをあきらめ道具を片付け始める。時間がたくさんあるのでしっかり道具も洗い、丁寧に道具箱へとしまうことができる。だいたいの道具を片付け終えたその時、予定よりも30分も早く迎えの船の船影が見えた。
「早く片付けてよかった。」
慌てることなく船に引き上げることができた。
 結果、振り返ってみるとたけさんが一匹目を上げたときに撮った写真が11:30。そして僕が最後に上げたチヌを捕った写真が12:57。時合い1時間半の間に上げたチヌは27cm〜45cmが2人で10枚。これが冬の寒さを感じない暖かい日で、10:30出発というゆっくりした釣りでできたのだからなんともうれしたのしの徳山の磯釣りだった。



2010年01月05日

柳井港 一文字           7:00〜15:00         0匹

 今年の初釣りは1年の好釣を祈願して穏やかな天候の日を選び、気持ちよい釣りができる場所をということでたけさんと柳井の一文字波止場を選定した。
 朝は放射冷却現象で氷点下まで気温が下がり、荷物を車から降ろす手がかじかんだ。出発はちょうど干底の潮で船着き場の柳井港では底が見えるほど潮がよく引いていた。道具を船に積むのも高い堤防から荷物を降ろすのに一苦労した。海上は冷え込んだ空気に蒸気があがり真っ白けで視界が悪いくらいだ。ようやく見えた一文字波止場は船からはしごをかけて上らなければいけないほど高い位置になっていた。これまた荷物を船から上げるのが一苦労。ようやく波止上がりを無事に終えたら一汗かいていた。



 今日はこの波止場にたくさんついているメバル。そしてまだたくさん波止場周辺に居残っている良型のアジ。さらに良型のチヌとちょっと欲張りな狙いだ。まずは堤防の際をぐるりと見て回る。するとやっぱりいるわいるわ、特に外側先端周辺にはたくさんのメバルとアジが見える。チヌの時合いは満潮前後と見越して、チヌの好ポイントを探すこともかねて、まずはそのメバルやアジを狙うべく、仕掛けをセットして探ることにする。ところが…見える魚は釣れないもので、このたくさんな魚たちは目の前を沈んでいく餌にも見向きもしない。場所を換え、棚を変えて探り歩くけど、餌を食ってくるのはフグとベラばかりで狙いの魚は全く釣れない。ちょっと活性を上げてやろうと撒き餌を入れてみても魚が撒き餌に群がるどころか撒き餌投入の音で散ってしまうばかりである。目の前にいる魚を無視して排水口から流れる潮に乗せてずず〜っと沖まで餌を流し込んでやっとアジが食った。やはりアジは大きい。30cm近くある立派なアジだ。この大きさなら10匹も釣ればおみやげとして上々である。こんなことをしながら波止場の先端付近を一まわりしたら、もう1時間が過ぎていた。
 たけさんは早々に見える魚狙いをあきらめて過去の釣行から実績のあるポイントに釣り座を構えて撒き餌を入れてチヌ釣りを開始している。こちらもそろそろ場所を決めて撒き餌を入れようかと道具を移動し、仕掛けをセットし直していると…。なんとたけさんが竿を曲げている。あがってきたのはこの波止場周りに潜んでいる24cmほどの良型の黒メバルだった。



「これはいいのが来てくれた。」
と喜びの声を上げる。さらに続いてヒュンとアワセを入れている。曲がった竿がクンクンと節をつけて引かれるところを見るとどうやらチヌのようである。
「あれ?もうチヌが喰ってくるの?」
とちょっと手を置いて様子を見に行くと40cm超えの良型のチヌだ。内向きの敷石かけ上がりで喰ってきたということだった。ちょっと仕掛け作りの手を置いてたけさんの浮きを眺めてみると、餌投入と同時に魚の気配がある。
「こりゃチヌが寄ってる?」
なんてつぶやくと同時に食いアタリが出てガッツンと針掛かり。
「げげげ!入れ食い状態じゃん。今日はこの調子だと20匹超えになるのでは?」
アタリの出方から今日は好活性と判断できる感じなので、この分なら二人とも一日中チヌのアタリを楽しめるだろうと余裕が出てきた。



 ゆっくりと自分の釣り座に戻って仕掛けセットを落ち着いて続けるがその間にもたけさんはさらにチヌを追加している。今日はこちらはウキダゴでチャレンジするつもりできたので、団子を練る。たけさんが4匹獲物をゲットしたところでようやくこちらも支度が調った。付け餌を団子に包み、投入しながら底の状態と浮き下を調べるが、思ったより堤防下から沖へと敷かれている敷石は長く、下投げ投入では敷石を超えられず、石の間に団子が着水してしまい、根掛かりしてしまう。仕方がないので久々のオーバースローで団子投入する。しかし、それには少し団子の堅さが柔らかすぎたので団子が空中破裂を起こしてしまいなかなかうまく投入ができない。団子の握り加減や投入の力加減を調節してやっとなんとかうまく投入できるようになったがその時にはすでにたけさんはさらに1匹のチヌを追加していた。しかし、好調なのはこれまで、それからはアタリが途絶えてしまった。最初のあたり方から、まさかあたりが止まるとは思ってなかった。こちらもやっと順調に攻めることができたというのに魚が寄ってくる気配はない。
「しまった!あの時間が食いの立つ時合いだったのか。」
と後悔しても後の祭りだ。この後は時折、アジの群れが回ってきて良型アジがぽつりぽつり釣れるくらいでぱっとした釣果があがらないまま時間だけが過ぎていった。
 たけさんは朝の時合いで、もう十分おみやげ分のチヌは上げていたので、この良型アジの方がチヌよりうれしいとニコニコである。こちらのポイントにはそのアジもあまり回ってこず、無言の団子投入となってしまった。満潮を過ぎ、昼食を食べたところでたけさんにひさびさのチヌが一つ喰ってきたがそれっきりチヌの方はすっかり静かになってしまった。
 14時、今日は波止場上がりが早い時間だったので、迎えも15時と早めである。あきらめかけたとき、ふと足下の波止場際に目をやると波止場際に固まってじっとしていたメバルの群れがふわ〜っと少し沖まで泳ぎ出ていた。
「もしや、メバルの食いが立っている?」
チヌの方はあきらめて早速メバルの仕掛けに変えて足下にそっと餌の田エビをつけて仕掛けを入れると、エビが沈むと同時にメバルが飛びついて喰ってきた。クククンとこぎみよい手応えでメバルがあがってきた。ただ、浮いているメバルは型が小さく15cm級だ。ここの波止場際には20cm超えの良型メバルがたくさんいるのだがそいつの口に届く前にチビメバルが喰ってしまう。まさに入れ食い状態。次々にメバルを上げるがその時にはもう迎えの船が近づいてきてしまった。
 たけさんは好漁、こちらはアジ2つにチビメバル6匹と貧果に終わってしまったが、
「一日とってもいいお天気で、気持ちよい釣りをすることができたので初釣りとしては上々でしょう。」
ということで帰路についた。




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