2010年 釣行記

2010年12月28日
大竹 玖波沖の筏        チヌ    7:00〜14:30   30cm          1匹

 いよいよ2010年も終わりを迎え、今年の納竿の時が来た。さて、竿納めの場所はどこにするか。いろいろと場所の候補はあがったが、
「久しぶりに本格的にチヌ狙いといきましょう。」
とタケさんと共に大竹に行くことにする。久しぶり、1年ぶりにアクアに電話を入れると聞き忘れることのないヒロトさんの声は予約快諾。同行のタケさんはかかり竿での釣りはやらないので、フカセ釣り用に浅めのポイントにあげてもらうことにする。
 玖波港出船は夜明けの6:45。薄暗い中、船長に挨拶をし、船に荷物を積み込む。釣り場の筏はいつもの宮島ではなく玖波沖なので15分ほどで到着だ。
「水深は15m」
と船長の声が飛ぶ。
 釣り座はまずはフカセのたけさんに決めてもらう。風と流れを考慮して浮きを流しやすいところに位置してもらう。たけさんの足場が決まってから、私はそこからできるだけ離れたところに釣り座を決める。せっかく二人で釣りに行っているのだから二人会話のできる位置で釣りたいが、フカセとかかり釣りは攻め方が相反する。掛かり釣りは自分の釣り座の真下、座布団一枚分の範囲の底一点に作ることをイメージするのに対し、フカセ釣りの場合はもっと広範囲に撒き餌の煙幕周囲でしかもここ大竹の筏ではどんどんチヌを浮かせていく事をイメージしてポイントを作っていく方が釣果が上がる。ねらいのポイント作りもそうだがこの泳層の違いは撒き餌の質の違いを生み、どちらの釣り方にも逆になってしまうのでお互いの釣りが干渉し合い、あまりいい結果にならないと思うからだ。



 さて、釣り座も決まって、いよいよ仕掛けのセット。まだ夜が明けきらず、暗い中、手元がうまく見えず、手間が掛かる。やっと万端整ったら、もう完全に周囲は明るくなりきっていた(笑)。冬の筏場でありながら、ここの筏には回りにたくさんのチヌがいるはずだ。第一投目からひょっとしたら喰ってくるかも知れないと、最初から気を抜けない。第一投目は団子のできあがりを確かめるつもりも含めて投入。ほぼ一年ぶりの掛かり釣り。しかも最近はワンシーズン中に釣行する回数がとても少なくなった。でも、長年やり続け、体で覚えたこの感覚に衰えはないようだ。割れ具合もドンピシャ。底についてしばらく経つと崩れるようにして団子は割れ、付け餌が出る。この日の付け餌はオキアミの生。この大竹の筏ではほとんどこれだけでやれる。時に餌取りが多くて釣りづらいと言うことでコーンや丸サナギ、ダンゴを使う人もいるようだが、餌取りと言えばダンゴが割れて2,3秒しか付け餌がもたない野波瀬の筏で釣り慣れている私にとっては、ここの冬場の筏での餌取りなんて、チヌが食うのを邪魔する存在とは思えない。このぐらいの餌取りならほったらかして魚が食ってくるのを待つことしかしないわけではないのだからテクニックでかわすことはできる。筏釣りでは案外釣り始めにいいアタリが出るものである。それは竿下に居着いている底魚がまだ空腹のところにおいしい餌が目の前に来るので食いついてくるのだろう。今日も例に漏れず一投目から穂先を押さえ込む食いアタリが出た。ところがこれは大きなフグだった。今日の餌取りはこの型のいいフグ。後に2回ほどこのフグに針を食い取られると言うこともあった。2投、3投4投と入れるがまだダンゴに魚が寄ってきたのではないので、反応は出ないが魚がいる気配は感じる。そのうち再び気持ちの良い竿押さえでぐいっと掛かった魚はなんと良型のウミタナゴ。25cmを越えるこの良型ウミタナゴは一瞬チヌが来たかと間違えさせられる。

 

 最盛期、筏での掛かり釣りでは釣り開始時から2時間後くらいからようやく本調子でチヌが団子に寄ってきてアタリが出始めるのが通例だが、この大竹の冬の筏釣りではどちらかというと団子にチヌが寄ってきて食いが立つという感じではなく、群れが団子の煙幕に興味を示して周囲に近づいてきてそこで見つけた付け餌を食うという感じでそのアタリの出方は通りすがりで喰うという感じ、だからその食い気がたった時合いにどどどっと喰ってきてそのあとアタリが止まったらもうその日はおしまいという感じの事が多い。だから一投一投全く気が抜けない。そうこうしてるうちに時間は9時。この日の時合いは夜明けの時間と潮時から10時〜11時と読んだ。もうすぐその時間がやってくる。ふと団子が割れた後の穂先の動きになんとなくチヌの気配を感じた。
「ひょっとして周囲にチヌが寄ってきている?」
でも、団子から出た付け餌に食いついてくる様子はない。そこで団子割れと同時に竿をぐいんと上に突き上げつけ餌を底から2ヒロほども持ち上げ、落とし込み風に探ってみる。するとまんまとこの読みが当たり、静かに海中に入っていく道糸がすっと走った。すかさず糸の遊びを巻き取って、魚の押さえを感じ取ってからぐいっと合わせた。うまく針掛かりしてグンと竿に乗る。ウミタナゴより重い手応えにクンクンとの首振りも感じて、
「こりゃ間違いなく本命だよ。」
ということで心地よい手応えを感じながらリールを巻き上げる。浮いたチヌはそんなに大きくなく、抜き上げても平気な感じだったけど、今日の一枚目と言うことで大事にタモですくい上げた。上にチヌがいるぐらいだからしばらく続くかと期待して次のダンゴを入れたのだけれど、すっとチヌの気配は消えてしまった。



「一匹掛けて少しチヌが警戒したか?」
次の反応が出るのを期待してダンゴの投入を続ける。けれど、その後チヌの気配がでるでもなく、時が過ぎていく。
 時間は10時を過ぎた。フカセをしているタケさんの方はチヌの気配どころか餌取りのアタリすら感じないようで、なんとなくボ○ズの文字が頭に浮かんで来て嫌な雰囲気に…

 

「いやいや、ほんとの時合いの山場は11時。これからだよきっと」
と自分を励ますように声を掛ける。そんなとき、半分放置気味に撒き餌を入れて定めたポイントを大きくハズレ、竿いっぱいまで漂った浮きに反応が出た。すかさず竿の握りを手直しし、見事にアワセタイミングを見計らってあおった竿に魚が乗った。竿の曲がりはクンクンと頭ふりをしていることを表している。浮いてきたのはやっぱりチヌだった。どうやら思ったほどにチヌの活性が高くなく、設定したポイントよりずっと潮下にチヌは付いているようだった。そしてタケさんの方も後は続かず、この一匹でまた気配は消えてしまったようだ。どうもチヌは大きな群れとなって近づいてくるようではなく、単独でうろついているみたいである。こちらの掛かり竿にはまた、餌取りのフグが食いつくようになった。このフグがなんとも大きなフグで、重たくて網ですくい上げないといけないくらい。上がってくる途中でおなかいっぱいに食べた撒き餌に入っているオキアミをぼこぼことはき出しながら上がってくる。こんなことをしているとふと急に落としたばかりのダンゴをガツガツと魚がかじる感じが出た。
「ん?チヌがいる?」
団子が割れて飛び出した付け餌に竿先を下げてそっとついていくとススーっと穂先を押さえ込む食いアタリが出た。すかさず合わせてグインの手応え。ところがその手応えはすぐに消えてしまった。
「しまった!ばらした?」
やっと出たチヌの気配もこれ一発でまた音沙汰がなくなってしまった。食いが立つのを今か今かと待ちに待って、そのため昼食も竿を握る手を休めず、ゆっくり食べることもせずに釣り続けたのだが、ホントにアタリは散発である。
 この後はフカセのタケさんの方にまた忘れたころにじわっと浮きを押さえ込んで止まるアタリがやっと出た。さすがタケさん。こんな散発な反応も見逃さない。ガツンと合わせて先程のとは一回り大きいチヌをゲットした。しかし、そのあとはまたビタ止まり。連発のアタリを期待しての大竹釣行だったがなんとも不完全燃焼である。この後はしっかりしたアタリは二人とも出ることなく数匹のウミタナゴを追加したところで迎えの船がやってくる時間となった。タケさんの釣果は38cmと27cmの2匹。
 今年の竿納めは二人ともボウズにこそはならなかったが、なんとも期待はずれの釣果。帰りの車中では二人とも思いを残した悔しさにあれだこれだと反省点ばかりが出てきた。
「よ〜し、次はリベンジするぞ!」


トップへ
戻る