2009年 釣行記

2009年12月05日
大竹  宮島沖の筏              7:00〜15:00   22cm〜35cm 3匹

 ほぼ一年ぶりの大竹釣行です。今回はこのいい釣り場をたけさんに教えてあげるのが主な目的でした。大知渡船に予約を入れたとき、
「出船は6時半です。」
とうかがったので、集合は3時。早い出動です。遠い道中も2人なら鮎釣りのこと、今日行く大竹の筏のことなど楽しい釣りの話をしながらなら短く感じます。途中大竹のICを出たところにあるコンビニでお昼ご飯の調達と用便を済まし、アクア到着は6時前でした。
 ヒロトさんと久しぶりの挨拶をし、撒き餌を作ります。たけさんは今日は筏からのフカセ釣り。僕は少し離れて釣り座をとり掛かり釣りをする予定です。玖波港で荷物を下ろして渡船の着くのを待ちます。
「かずべ〜さんたちは大きい船へどうぞ」
との指示でそちらへ荷物を積みます。どうやら僕たちは宮島の筏に行くようです。今日の天候はちょうどお昼頃に低気圧が通過して気候が変化するという予報。潮時はこれまたちょうどお昼に満潮を迎える潮です。おそらく低気圧が通過してからの南風は宮島筏なら直撃で風を受けて、釣りにならなくなるでしょう。
「勝負は潮変わりまでの午前中」
と考えました。
 さて、降ろしてもらった筏は、かなり宮島から沖側に位置してました。水深は船頭さんから22mと聞きました。この深さはここの筏群の中でも一番深いと言えるでしょう。これだけ深いとちょっとたけさんのフカセ釣りにはあまりいいポイントとは言えないかもしれません。初めて乗った筏なので潮流がどっちに流れるのかわからないので、まず船を下りて海を眺め、少しだけ撒き餌を海に落として潮の流れを読みます。ところが筏に到着した時間はまだ干底から時間がそんなに経っていないので潮が緩い。それでもどうやら潮は西へと動いているように見えました。
「これだと釣り座を西向きにとらないと…」
ということで船が着いたのは筏の東側だったので30mほどある筏の反対側へ荷物を持って移動します。二人して3度も4度も筏を往復し、くたびれてしまいました。やっと荷物を全部移動して道具をセットし、釣り開始です。ところが、潮の動きが本格的になってみると潮は東向きに…。たけさんの浮きは筏の下へと入るようになってしまいました。潮読みを間違えたのです。



「あの重い荷物を抱えて何度も筏を往復したのは何だったんだ。。。」
どっと疲れが押し寄せたが、そのまま無理に我慢をしてもここの潮は速いから筏下へと仕掛けが入り込み釣りづらくて仕方がない。ましてや今日は午前中勝負、昼から潮が払い出しに変わっても風が強くて釣りにならないことが予想されます。もう一度発破をかけて気合いを入れ直し、元の位置への移動開始です。結局元の足場へ荷物を全部移動し、最初からやり直しです。
 この作業でおおかた一時間は費やしてしまいましたが、やっと本格的に釣り開始です。たけさんはカキがまだ下がっている筏のすぐ横、前方15mほどのところをポイントに定めて撒き餌を入れます。僕は反対側の沖側の端に筏竿をセット。潮はだんだん速くなってきます。筏から右前方へ団子が割れるとす〜っと道糸が斜めになっていきます。この潮はたけせんが定めたポイントで右から回る潮とぶち当たり、ちょうどたけさんのポイントでは潮が巻き、流れが一段ゆるむようです。全層仕掛けで探るたけさんの浮きは比較的安定しています。その浮きに変化が出だしました。まだ釣りを開始して1時間と経っていないけれど、この宮島の筏群では撒き餌に周囲からチヌの群れが寄ってくるという感じではなく、付近にいるチヌが撒き餌で活性化されて餌を食ってくるという釣れ方をすることが多いのです。釣りを開始してから早いうちにチヌが食ってくることが多いということです。浮きに変化が出だしてから何投目か、すす〜っと浮きが入りました。すかさず合わせるたけさん。グンっと竿がしなる。どうやら良型のチヌのようです。ただ、水深が22mという深いところなので魚を無事に浮かせるまでは安心できません。ぎゅ〜と絞り込まれた竿がふっと戻ってきました。残念なことに本日一号のチヌはばれてしまいました。一番チヌをばらすのはとても痛いものです。後の釣りに影響を与えてしまうことが多いからです。たけさんの方はその後、しばらくアタリが途絶えてしまったようです。



 そのころからこちらの竿にも魚の雰囲気が感じられるようになりました。団子へのアタックはないのですが、団子割れの後、竿先がふわふわ揺れます。そして餌もとられます。そこでちょっとこちらの釣りに集中します。するとそのふわふわした竿先が下がったまま上がりません。魚がくわえているのを感じ、竿先のテンションをゆるめます。その分、竿先が入ったところをとらえて竿先を天に突きます。ガンっと針掛かりしました。
「うひょっ!」
久しぶりの筏竿でのチヌの感触です。2度3度の首振りと突っ込みをいなしてグイグイ巻き上げタモですくい上げます。27cmほどのチヌでした。



しかしやっぱりアタリは続きません。団子にチヌの群れが寄ってきたわけではないようです。でも、まだ魚の気配は感じるので気は抜けません。ただ、潮の流れが速く、団子が割れるとすぐに前方に餌が飛んでしまいます。餌を流し込んで食わせるというほどチヌも多くなく、また小鯛やアジの餌取りもいるので餌も持ちません。勝負は団子割れ1分以内です。1時間、その団子割れ一発目のアタリでチヌの食いアタリをとらえることができました。すかさずアワセを食らわせると今度もがっちりと針掛かりしました。今度のは少し手応えが強い。深い棚から型のいいチヌを筏竿で抜き上げるには魚に余裕を与えない方がいいのです。ハリスに信頼がおける太さを選び、相手が反撃をする隙を与えないよう顔を上向きにキープしたまま一気に巻き上げます。ただ、こちらが気がつかないうちに反転されると一気にハリス切れにつながるので、その期を見逃さないように手でテンションを感じながらリールを巻くのです。もし、急反転を感じたら、竿でためてこちらをもう一度向かせることができるのか、それとも一気に走るのに合わせてやりとりするか、一瞬の判断と対応が大事です。しかし、このチヌはそこまでの型ではありません。久しぶりのチヌのあしらいを楽しむためにわざと2度3度としめこみを味わい、巻き上げました。この日一番の型は35cmほどのチヌでした。



 この後はまたアタリが途絶えました。もう団子を入れだしてから2時間以上経っているのですが、やはりチヌの群れは寄っては来ていないようです。団子には何も変化が出ません。それどころか魚の反応は下がり始めました。朝早いうちはまだ上空の雲も少なく、気持ちのよい日差しが差してくれていたのですが、天気予報通り、時間が経つにつれて雲が厚くなってきて日が当たらず、どんよりとした感じになりました。野波瀬でも思うのですが、水深20mの底へは曇天時でも光が届くのでしょうか。曇ってしまってからは餌のオキアミは目のある頭部のみをかすみとるだけになってしまいました。たまたま目だけがとれてしまったオキアミをつければいつまで経っても餌すらとられません。この状態では餌を流しても無駄だと判断しました。そこで針上1mに1号の鉛をつけ鉛を宙ぶらりんにして餌を止めます。竿先が水中に向き、死んでしまってアタリがとりにくいけれど、餌を底に安定させることができるのでねらいは定めやすいのです。また、鉛を竿先で移動させることで誘いを掛けることもできます。この方法に変えて30分、竿先にもたれるようなアタリが出たのをじっくりと見定めて合わせ、25cmを一枚追加できました。



 たけさんの方は残念ながらその後、食いアタリは出ないようでした。その後少し潮の流れの方向が変わり、浮きが巻くところがちょうど筏を固定しているワイヤーロープがあるところになってしまったのです。底まで餌を沈め込むのにそのロープに何度か根掛かりをさせてしまっていました。だからといってポイントを少しずらすと今度は潮が飛んでしまい、浮きが止まらず釣りにくそうです。こういうとき筏釣りは場所替えができないからつらいものです。



 さて、時間も昼前となりいよいよ朝の満ち込みの潮が止まってきました。それと同時に天候もぐっと悪くなってきて、時折吹き込んだ南の風が突風となり、さらにふきっさらしになりました。たけさんは竿も降りづらくなってちょっと休憩と筏の上で寝てしまいました。それからさらに天候は悪化し、雨まで降り始めます。雨は一時はかなりひどくなり、カッパが必要なぐらいでした。でも、防寒着を着込んでいるので寝ているたけさんも体は濡れないですんでいます。南向きが開いているこの宮島沖筏は沖から打ち寄せる高い波がぶちあたります。これで筏は大揺れです。竿先でとてもアタリをとれる状態ではなくなりました。さらに潮が変わって筏の下へ仕掛けが入り込むようになり、とてもじゃないが釣りにはならない状態となってしまいました。潮下になる筏の反対側へ移動しようかと試みましたが筏の揺れがひどく、荷物を持って反対側へ渡り着れそうもありません。ふらふらとバランスを失いかけたので移動するのはあきらめました。



 その後、気圧の谷は通り過ぎたのか雨こそはやみましたが、風は勢いを弱めないので結局そのまま迎えの船を待つだけとなってしまいました。帰り、同じ船の釣り人の様子を聞いてみたけれど、この宮島方面に渡った人はみんな釣果が悪かったようでした。港へ着いてもう片方の玖波側へ渡った人の釣果を聞いて一人で20枚ほどの釣果を上げた方が数人いたのにビックリしました。とりあえず大竹釣行はボウズを逃れることができ、今年の竿納めができました。



2009年11月29日
野波瀬釣りデッキ     10:00〜17:00         0匹

 鮎のシーズンは週末になると釣行していたのでまだ釣り癖が抜けてません。2週間も出かけないで過ごしているとなんとなく落ちつかず、うずうずしてきます。
 ここのところ週末になると天候が悪くなっているのですが、今週はお日様は出ないまでも風も弱くおだやかという予報。そこでまだ冬海になってないだろう野波瀬へ出向いてきました。
 港について海をのぞくとなんとも水が澄んでます。
「ん?海水温が下がった?」
そういえば先週は季節外れの寒波襲来。一気に水温が下がったのかもしれません。
 渡船で筏へ行ってみると、この時期の日曜日なのに案外人が少ない。先客があったけれど、ポイントには座れそうなので2番におろしてもらいました。2番筏は前はよく釣れるけれども筏が古くトイレもなかったのですが、作り替えられて足下の板もがっしり。中空きのないトイレ付きになりました。



 しかし…筏の付け替えでポイントが動いてしまったのか?釣りを開始しても魚の気配が出てきません。餌をつついてくるのはその感じから察すると保安官バッジサイズのカワハギが数匹という感じ。まぁ釣り安いのはいいのですが、これでは団子の投入にも気合いが入りません。

  

 それでも時合いが来たら魚が動くかとせっせと団子投入を繰り返します。でも、時間は過ぎれど状況に変化はありません。そのうち好ポイントに入っていたウキダゴ釣りの人もポイントを変えたりしだしました。どうやら魚の活性が悪いのは僕のポイントだけではないようです。周囲の筏の釣り人の様子をうかがっても、アジすらもあまりあがってない様子。全般的に食いが悪そうです。あがっているのは5番でアジの泳がせ釣りをしている方たちだけ。この方々はスズキでしょうか、時折竿を曲げておられるようで好調でした。チヌは3番、4番に常連さんが入っていましたが、4番筏で足の裏サイズが2つほどあがってただけでやはりあまりぱっとしないようでした。みなさん4時の便で早々に筏をあがって行かれました。
 同じ筏にいらっしゃったアジ釣りのご夫婦もウキダゴ釣りの方もあがってしまわれて、筏には僕だけ、いや全体でも3人ほどになってしまいました。天気は一日中曇天。水深20mの底には曇りでは明かりが底に届かないのか、野波瀬ではお天気の悪いときに好釣果の日はあまりありません。
 薄暗くなってくる夕方です。さらに条件は悪くなるか?でも、夕刻の一時は大型の時合いであることに変わりはありません。最後の集中力をと気合いを入れて竿先を見つめます。…と、上に誘った竿先にズ〜ンと重みが乗ります。
「えっ??これは…まさか…やばい??」
ず〜んと重たいままリールが巻けます。もわ〜〜っとあがってきたのは水くみバケツ。



「わちゃ〜最後の時合いに底を荒らしてしまった…。」
これで一寸の細い期待の綱も切れてしまいました。最終時間までつけ餌がついてあがってくるだけでした。
2009年09月23日
野波瀬釣りデッキ           11:00〜17:00    3人で22cm〜33cm          6匹

 今年は偶然にも秋のゴールデンウィークができあがった。5連休なので1日ぐらいはちゃんと息子孝行を…ということで二人の息子を連れて野波瀬釣りデッキへ出かけることになった。
 せっかく行くのだから息子たちにもチヌの魚信を味わわせてやろうと意気込んで準備していたのだが、のんびり屋の息子たちはこっちがしびれを切らせて起こすまでグースカと寝ていて起きてこない。ということで、やっと二人が目を覚ましてからの出発で、筏到着は11時。
「まぁ、釣れなくても一日釣り竿を持ってのんびりしただけでいいかぁ」
という感じになった。釣り座は他の釣り人に迷惑を掛けることなく、それでいてひょっとしたらチヌが釣れるかもしれない可能性を残しているところ…と渡船から筏群を眺めて、4番の北向きに決める。どうせいろいろと私がサポートをしてやらないといけないので、竿間隔1mで3本の竿を並べてセットする。釣り好きの私の息子でありながら、釣りにはそんなに興味を持たない息子たちだ。当然のように3本の仕掛けのセットもダンゴ作りも私の仕事。息子たちは半大名釣りである。それでも準備をしてやれば、それなりに団子を落とし、餌付けをする。
「ほほう〜、それなりに自分でもできるようになったのか。」
などと少しだけ感心して、これなら当たりが出るまではほっといてもいいなと私も自分の釣り座に座って団子投入を始める。
 釣り開始の時間も遅く、ポイントもそんなにいいとはいえない場所なので、釣れる可能性は低いと思えた。一ついいことがあるとすれば、それは3人が1m間隔で座って団子投入をしていること。これで団子の投入量が増えるのでチヌの群れが寄ってくるかもと少しだけの期待を持って団子投入を続ける。底には根掛かりはない。最初は餌取のイソベラがアタックしてきたが、その後、ミニカワハギが寄ってきたようで、たいしたアタリもなく餌がとられるようになった。



 こうなると野波瀬の筏は忙しい。団子が割れると同時にアタリもなく餌がとられるので自然団子投入はスピードが上がっていく。水深も18mほどもあるため、団子は投入してから底につくまでに長い時間が掛かる。この苦行のような作業をとにかく狙いの魚たちが寄ってきて、餌取りの魚を浮かし、本命の食い当たりが出るまで根気強く続けることができたもののみがチヌの顔を拝むことができる資格を得られるのだ。
 釣りを開始して2時間、底の様子が変わってきた。団子がガツガツと魚のアタックで割られるようになったのだ。
「ほほう〜ボラが寄ってきたな。」
久しぶりにこの時期に野波瀬の筏にきたのでこの魚の活性の高さに少しびっくり。夏から秋にかけてのこの野波瀬筏は、実は魚の宝庫なのである。数投後に団子割れから飛び出たオキアミの生にこのボラがアタックしてきた。グンと引き込まれた穂先に思わず反応してアワセを入れてしまった。ギュンと竿を絞り込み、いい魚の引きを味わわせてくれてあがってきたのは40cm級の大ボラだった。たとえボラでも初獲物。この大物の顔見せに息子たちは少し活気づいたみたいだ。釣りスタイルに少しだけ気合いが入ったのを感じる。



「このボラたちが寄ってきたら、その次にはチヌがやってくるぞ。」
と発破をかける。隣に座っている長男の方はこちらの釣りをよく見ながらやっているようで団子割れのタイミングがわかったようである。付け餌に出る食いアタリを選別してアワセを入れているようだ。しかしながらもう一つ向こうに座っている次男坊はそのタイミングがよくわからないようで団子割れをまたずにボラアタックにアワセを入れている感じである。そしてそのアワセも何度となくアドバイスしたのだがどうももう一つ思いっきり天をつくようなアワセができきらない。
「あれじゃあ針掛かりが弱くバレてしまうがなぁ…。」
などと思いながら自分の竿先を見ると
「おっと?」
ふ〜わふ〜わと二度ほど小さくあおった穂先がすす〜っと下へ入っていく。
「チヌ?」
当たりが出ると自然に体は反応する。ガッツーンと針掛かり。ほどよく2度3度と竿を絞り込みスプールが反転。あしらいの竿裁きに息子たちから歓声が上がる。
「おお〜〜」
海中に銀鱗が舞ってくるくるとあがってきたのは本日最長寸33cmのチヌだった。



 今回の釣行は実は次男坊の誕生日プレゼントを兼ねている。ということで一番いい場所を次男坊、その隣に長男、そして私という釣り座。釣行時間も遅く、ポイントも外れて、自分にチヌが釣れる可能性はとても低いと思っていたのに、こんなに釣り開始から経っていない時間にまさかチヌがくるとは思わなかった。どうやら3人並びの団子落としに、絶好調期の野波瀬筏のチヌの群れが寄ってきつつあるらしい。とにかく初獲物をあげることができて父親の面目躍如というところである。
「この調子ならチヌは群れで寄ってくる。今日は釣れる可能性が高いぞ!」
半分釣れないだろうと遊び気分だった息子たちにも一気に気合いが入った。
 だがしかし、群れはそんなには大きくないようで、一匹きたら次に連続で当たりが出るわけではなかった。30分ほど無言の団子入れが続き、一匹目のほとぼりが冷めた頃、ようやく次のアタリがきた。これもうまく見逃さずにアワセが効いて、針掛かり。今度は先ほどよりは簡単にあがってきた。これは27cmほどの足の裏サイズ。これまた一匹釣るとアタリはしばし途絶える。



 …と、今度は隣の長男の竿が跳ね上がった。結構落ち着いた対応であがってきたのは25cmほどのチヌだ。
「おお〜初チヌ。釣ったな!」
と声をかけてやる。一匹うまく釣り上げて、調子をつけた長男はこの後15分後にもう一匹同型を追加。



こうなると焦るのは次男坊。言葉もなくなって黙々と団子を入れている。しかし、今度はその次男坊が竿を曲げた。掛け合わせたその竿はグイ〜ンと海中に絞り込まれる。
「これは大きいぞ!がんばって上まであげてまず姿だけでも見ろよ。」
筏竿での初大物だけにバラす可能性は高いと思ったのでせめてばらしても話草になるようにと思って声をかけたのだがもう少しで魚体が見えるというときになってふっと穂先が跳ね上がった。息をのんで見ていたこちらと長男二人ふ〜〜っと息が抜けてしまった。
「おしかったなぁ〜。」
と慰めに言葉をかけるが当の次男坊は結構ポーカーフェイスだ。未だ一匹の魚も針にかけてないのだから内心は大ショックだろうが…。
 バレてしまったのはしょうがないのでとちらももうあまりそのことには触れず、釣り座に座って釣りを続ける。この後、こちらにまた一つ27cm、そして長男坊には25cmサイズが追加で来た。その後、またまた次男坊が竿を曲げる。しかし、見ていてわかるほどにアワセが弱かった。やっぱり竿の曲がりからして大型くさい。アワセの弱いのがわかっていたので、
「一気に巻き上げてしまえ〜!」
と声をかける。指示通りに一気に巻き上げにかかったがスンとまた竿先があがった。
「ありゃま〜〜〜。」
仕掛けをあげてみたらハリスが切れてしまっていた。切れ後から見るとどうやら前回のバレでハリスに傷が入っていたようだった。どうもうまくいかない。やることが全部裏手になってしまっている。何も魚が釣れてないのに加えて大型の2匹連続バラシ。なんとか一匹ぐらいは釣ってもらいたいと気が気でない。
 「時間は3時、いよいよこれからがここ(野波瀬)の本格的な時合いだ本腰を入れろよ。」
とさらに発破をかけたのだが、これまでほとんど凪であったのに急に突風が吹き出した。荷物が風で飛んでしまいそうなくらいに強い風だ。釣りをしているこの4番の筏は実は筏止めの錨が入っていない。隣の3番と5番にロープを渡してつないでいるだけなのである。なので風を受けると大きく筏の位置が動いてしまう。それは3番の筏を見てみると明らかにわかる。先ほど(凪)までは3番の筏の少し後方に位置していたのが突風が吹くと3番の前方に2mほど出ている位置にある。こうなるとせっかく団子を入れてきて作ったポイントから釣り座がずれてしまう。残念ながらアタリは途絶えてしまった。
 その後、この時々の突風がその後は一定の強風へと変わってしまい、波も強くなりうねりも出始め、僕と長男はやはりさっぱりとチヌのアタリは途絶えてしまった。きっと反対側の端に座っている次男坊の釣り座がなんとかポイントにかかっているぐらいにまでずれてしまっている。しかし、今日の主賓の次男坊は、まだ一匹も魚を上げていないのでやめるわけにはいかない。
「これだけ筏が動いてしまっては可能性があるのはお前だけだぞ。がんばれよ。」
と次男坊に声をかける。
 残りのゴールデンタイムは次男坊の一人舞台だ。だが…。運がいいのか悪いのか、次男坊の竿にかかってくるのは全部型が大きい。この後、また大きいのをかけていながらバラシ。バラした後はアタリが止まる。4時半を過ぎた。
「さぁ、残り時間は少ないぞ。ラストチャンスだから思い切っていけ。自分の思うようにやって悔いのないようにしとけよ。」
と声をかけるのと次男坊が竿をたてるのがほぼ同時だった。もう誰も声は出さない。ぐっと息をのんでやりとりを見つめる。何度となく竿が絞り込まれる。が…これまたもうすぐ魚体が見えるという時になって竿先は無情にも跳ね上がってしまった。
「後何分ぐらいある?」
と聞く次男坊だが迎えの船のエンジン音が聞こえてきた。
2009年02月22日
野波瀬釣りデッキ           8:00〜17:00    31cm          1匹

 すでに2月も最終週、来週からはまた川が開くと言うことで今季の海釣行も今回が最後となるだろう。前回の釣行の時、タケちゃんが数釣れなくてもいいからデカバンを釣りたいと言っていたので、この時期、大型がよく出る野波瀬の釣りデッキへの釣行を誘ってみたら、「やってみましょう。」と快い返事をもらった。
 いつもの一人釣行とは違って6時集合、7:30出船。日曜日ともあって釣り人は結構多いと思ったのに、なんと筏はがら空き。雑魚釣りの家族連れが西の筏に上がっておられるだけでチヌ釣りの常連さんが一人もいない。きっと昼から雨という天気予報に釣行をさけられたのでしょう。そこで広くポイントを構えられ、この時期魚の反応が多い団体筏へ上げてもらう。風の東の緩い風、おだやかな筏の上、他の人に気兼ねすることもなく北向きに二人並んで釣り座を構えた。
「時合いは夕方15:00からだよ。」
と忍が切れることなく、ゆっくり構えるようにタケちゃんに言葉をかける。いつもの事ながら釣りはじめにはポイントに居着いている雑魚たちが反応を示してくれる。浮きもピョコピョコ反応が出てくれてうれしいものだ。しかしこの反応はしばらく釣って雑魚を釣り上げてしまったり、撒き餌が入って雑魚たちが満腹になってしまったら消えてしまうものだ。ところが雑魚の餌いらいとは違う消し込むアタリがタケちゃんに来た。予想せぬ反応にも焦ることなくタケちゃんのアワセが決まる。そんなに大きくはなさそうだがちゃんと首振りの反応が竿に出ている。
「およよ居付きがいた?居付きにしては型が小さい?」



浮き上がってきたのはこの時期には珍しい30cmそこそこの型の色白のチヌだった。これでタケちゃんにボウズはなくなったので誘った僕としては一安心だ。ただし、タケちゃんはデカバン狙いで来たのだから満足はしていないようだった。型の小さいチヌなのでひょっとして群れているかとも思ったがやはり居付きだったようでこの時間帯にはこのチヌ一匹だけだった。
 その後はじっとおとなしい釣りとなった。けれど、期待は時合いの15時に向いており、撒き餌を丁寧に打ち続けて我慢して続ける。
 11時ごろから急に突風が吹き出し波立ちが出だした。凪状態の水面だったのに一変し、餌の投入が難しくなった。それでも、適度に潮に流れが出だしたので食いも立つかもとも思えた。さらに空が暗くなって雨が落ち始めた。カッパを着ようかどうしようかと思うぐらいのポツポツ雨。天気予報では夕方から降るかもと言うことだったのに雨が来るのが早い。本降りになる前に少し早いけれど昼食をとる。2月の雨です。ほんとだったら寒くて寒くて釣り続行は不可能と言うところだけれど、この日は案外暖かく雨に濡れながらでも寒さは感じない。最初は降ったりやんだりだったのがそのうち一定に降り続けになってしまった。
 潮の流れは一定せずに右へ左へ手前へ…13時、お互いの浮きにもたれるような魚の反応が出だした。
「でも、まだ時合いには早いよね…」
などと言いながらも食い込め〜食い込め〜と浮きを見る目に力が入る。入りきらずにふわ〜と浮いて反応がなくなった仕掛けを上げてみると餌の沖アミにチヌの歯形が残っていた。沖アミの腹側をバックリくわえたその歯形は40cm越えクラスを予想させるものだった。しかしながら、その後再び反応がなくなってしまった。ほとんど浮きに反応のでない釣り、しかも雨の中です。つらい釣りになってしまいました。
 14時、時合いまでもう少しと思っているとき、左流れができた。
「ここは左に流れる潮の時によく喰うことがあるんだけど。」
と言っていると僕の浮きがス〜と吸い込まれた。グインと竿をあおって合わせるとちゃんと針掛かりした。手応えは小さいけれど首振り反応が伝わり、これまた30cm級が上がってきた。この型なら数いるのでは?と思えたが後は続かない。一匹だけで再び反応はなくなった。雨は依然として降り続く。空も暗く降りは本格的になった。野波瀬の筏は水深があるせいか曇りの日より晴天の方がよく釣れることが多い。潮もあまり流れず状況はあまりよくない。
 じっと我慢でいよいよ待望の15時、時合いの時間を迎えた。二人の浮きを見つめる目にも力が入るが、アタリは出ない。16時半、少し再び浮きにもたれるような反応が出始めたが雨の夕暮れ、辺りはライトの明かりが光って見えるくらいに暗くなり魚の活性があがることはなかった。無情にも時間は過ぎて迎えの船のエンジン音が聞こえたので竿を置いた。


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